Webサイトの保守契約について、「本当に必要なのか?」「制作会社の利益目的では?」と疑問を持たれることは少なくありません。 実際に、制作直後はトラブルもなく、見た目も整っている。アクセスもそこそこある。そうなると、月額の保守費用が“余計な固定費”に見えてしまう気持ちもよく分かります。 私たちも、これまで何度も同じ質問をいただいてきました。 だからこそ今回は、制作会社の立場から“きれいごと抜き”で、保守契約の本当の意味をお伝えします。

なぜ保守契約は誤解されやすいのか

保守契約が誤解される理由はシンプルです。

  • 会社ごとに内容が違いすぎる
  • 何をしているのか見えにくい
  • 何も起きないことが「成功」だから価値が伝わりにくい

例えば、サーバー障害が起きなければ評価されません。 改ざん被害が出なければ感謝もされません。

しかし実際には、「何も起きない状態」を維持するために、日々細かな管理や確認が行われています。

Webサイトは公開した瞬間から“変化し続ける環境”に置かれます。 インターネットの世界は止まりません。サーバーも、ブラウザも、検索エンジンも、法律も、常に変化しています。

その変化に合わせ続ける作業が、保守の本質です。


本音①:保守契約は“安心料”ではありません

Webサイトは一度作れば終わり、ではありません。

  • サーバー環境は定期的に仕様変更される
  • プログラミング言語はバージョンアップされる
  • CMSやプラグインには脆弱性が見つかる
  • 検索エンジンの評価基準は変わり続ける

例えば、PHPのバージョンが上がっただけで表示が崩れることがあります。 プラグインの脆弱性が公表され、数日で改ざん被害に遭うケースもあります。 SSL証明書の更新漏れでサイトが警告表示になることもあります。

何もしないことは、実はリスクを積み上げている状態です。

保守契約は「万が一の保険」ではなく、 “リスクを発生させないための管理”です。

目に見える成果ではなく、目に見えない損失を防ぐための設計。 ここが誤解されやすい部分でもあります。


本音②:安い保守契約ほど設計が難しい

「月額いくらですか?」という質問はよくいただきます。

ですが、制作会社側からすると、 実はこの問いが一番難しいのです。

重要なのは金額よりも中身です。

  • 何時間の対応が含まれるのか
  • 緊急対応は別料金か
  • 誰が担当するのか
  • 改善提案は含まれるのか
  • レポートはあるのか

月額1万円でも成立するケースはあります。 しかしそれは「対応範囲が限定されている」場合です。

逆に、 “何でもやります”という契約は、必ずどこかで歪みが出ます。

制作会社も無限に時間を使えるわけではありません。 範囲が曖昧なまま契約すると、後から必ずズレが生じます。

保守契約とは、実は“業務範囲の設計書”でもあるのです。


実際にどんなことを保守で行っているのか(内容の一例)

私たちの保守契約は「更新代行」だけではありません。

あくまで一例ですが、以下のような領域まで対応可能です。

■ サーバー/ドメイン/システム関連

  • サーバー及びドメインの管理・更新
  • SSL証明書の管理・更新
  • 各種ソフトウェアやプログラミング言語のアップデート対応
  • ディスク容量、DB容量、CDN転送量などの管理
  • 不正アクセスの監視
  • データの日次バックアップ

など。
インフラの安定は、Webサイトの土台です。 土台が不安定なまま、集客やブランディングの話はできません。

■ コンテンツ更新関連

  • コンテンツ修正、追加
  • フォーム修正、追加

など。
情報が古いままのサイトは、それだけで信頼を損ないます。 小さな更新の積み重ねが、企業イメージを守ります。

■ デジタル品質関連

  • 主要端末・主要ブラウザでの表示確認
  • エラー監視及び対応
  • Lighthouse / Core Web Vitals のスコア確認と改善
  • 構造化データのチェック
  • Cookieスキャン

など。
“表示されている”だけでなく、 “評価される状態”“法律に適合している状態”を維持します。

■ SEO分析/マーケティング関連

  • 検索パフォーマンスサマリーレポート
  • ページ別分析レポート
  • ワード別分析レポート
  • GTM / GA4 設定代行
  • 広告運用代行
  • SNS、オウンドメディア運用代行

など。
保守を「守り」だけで終わらせず、 改善サイクルまで設計することも可能です。

■ 運用サポート/ディレクション関連

  • 技術相談
  • 定例ミーティング
  • 各種ベンダーとの調整代行
  • 夜間・祝日対応
  • チケット管理システムの導入

など。
Web担当者様が一人で抱え込まない体制づくりも、重要な保守の役割です。


他社様で制作されたWebサイトでも保守は可能です

「他社で制作したサイトでもお願いできますか?」

この質問は非常に多いです。
結論から申し上げると、可能です。
実際に、以下のようなケースは少なくありません。

  • 制作会社と連絡が取れなくなった
  • 保守契約がなく不安を感じている
  • 改善提案がなく、サイトが放置状態
  • 担当者が退職し、管理方法が分からない

もちろん、既存構造の調査や引き継ぎ作業は必要になります。 コードの品質確認や、権限整理、サーバー環境の把握など、初期診断は丁寧に行います。

しかし「制作した会社でなければ触れない」ということはありません。むしろ第三者視点での診断によって、 潜在的なリスクや改善点が明確になることも多くあります。

制作会社を変更することは“裏切り”ではありません。 企業として最適な運用体制を選ぶ、当然の経営判断です。


私たちが画一的な保守契約を提案しない理由

Webサイトの役割は企業ごとに異なります。

  • 月間1,000アクセスの企業サイト
  • 月間10万アクセスの集客サイト
  • EC機能を持つ売上直結サイト
  • 採用特化サイト

必要な保守範囲はまったく違います。

にもかかわらず、 「ライト」「スタンダード」「プレミアム」と一律パッケージで分けてしまうと、 必ず過不足が生まれます。

そのため私たちは、パッケージを一律で押し付けることはしません。

現状の課題、目的、体制、リスク許容度を整理し、 必要な範囲を設計したうえで個別にお見積りをご提案しています。

保守契約とは“商品”ではなく、“設計図”だからです。


まとめ:保守契約は“管理の設計”である

ここまで読んでくださった方の多くは、 きっと日々、Webサイトの運用に何らかの悩みを抱えているのではないでしょうか。

  • 更新したいけれど、どこまで触っていいか分からない
  • トラブルが起きたとき、誰に相談すればいいか不安
  • アクセスが落ちている気がするが、原因が分からない
  • 上司から「Webで成果を出してほしい」と言われている

それでも、通常業務をこなしながら、Webのことまで一人で抱えるのは簡単ではありません。
保守契約の本質は、 「何をするか」よりも「どこまで責任を持つか」の設計です。

“何かあったら対応します”ではなく、 “何も起こらない状態を一緒につくる”。
“困ったら連絡してください”ではなく、 “困る前に気づく体制をつくる”。

それが、本来の保守の役割だと私たちは考えています。

企業資産であるWebサイトを健全に維持し、 担当者の不安を減らし、 経営の判断材料を整理するための仕組みです。そしてその形に、正解は一つではありません。

もし今、Webの運用に少しでも不安や違和感を感じているのであれば、 それは“仕組みを見直すタイミング”かもしれません。

誠実に、現実的に、必要な範囲だけをご提案する。
担当者が一人で抱え込まなくていい体制をつくること。

それが、保守契約の本当の意味だと考えています。